波乱万丈の人生をマッハに駆け抜ける
『どん底作家の人生に幸あれ!』(The Personal History of David Copperfield)
チャールズ・ディケンズの長編小説。1849年から1850年にかけて、雑誌に月刊連載された。デイヴィッドは幼少期に辛酸を嘗めるが、大伯母に助けられ作家として成功する。個性豊かな人物が数多く登場し、また前半部は自伝的要素が強い。それを多人種の俳優をキャスティングし、青年期から成人期にかける人生が描かれる映画である。
『スターリンの葬送狂騒曲』の監督と製作人が携わっているだけあって、全編を通してマッハの勢いで辛いはずのデイヴィツドの人生が笑いに変わっているのは凄いなと思う。その代わり少し貧困を軽視しているような気がするが、それでも本作で貫かれる言葉の力や前を向こうとする力はディケンズの時代も今の時代もきっと大事なんだろう。キャストも全員大変よく、一人一人が奇人変人ぶりをあますことなく伝えてくれる。