2019年は去年の反省をいかしてちゃんと映画の感想を書こうといきり立ってから気が付けばもう11月。申し訳ないが簡単な一言感想でまとめさせていただく。
『バシュランギおじさんと、小さな迷子』
長編だが全く飽きさせることのない映画。ちょっとやり過ぎじゃないかと思うくらいがちょうどよい。それがインド映画のいいところだ。
『ナチス第三の男』
英語圏ではかなり前に上映された映画で日本ではようやく公開。かなりハラハラして映画としての見どころがかなりあるが、ナチスの幹部目線で描く映画は手放しでほめることはできない。映画の後半はがらりとかわりレジスタンスが主役になる。ちなみに冒頭のセックスシーンはどうみても不要だ。物語になにも作用していない。
『メリー・ポピンズ リターンズ』
誰もが知っている名作ミュージカルの続編を違くキャストで描くなんて全く難しい課題であるが、この作品はそれを簡単に乗り切ってみせる。しかし歌も含め全体的にパワー不足な感じがするが、おそらくメリー・ポピンズの世界観が今の世の中にマッチしてなんだろう。しかしそれすらエミリー・ブラント演じるメリー・ポピンズがカバーしてくれる。ちなみにもしこの映画の応援上映があれば、エミリー・ブラントとメリル・ストリープの登場シーンは拍手喝采で迎えよう。
『フロントランナー』
なんだこの退屈な映画は。アメリカの良心がたかがスキャンダルのために失速してしまったんだと伝えたい意思があるのは結構だが、普通に不倫はよくないだろう。たかが不倫のためにアメリカの政治家ホープが失速したんだって伝えたいんだったら、最初っから不倫なんてするんじゃない。
『ファースト・マン』
超クールな伝記映画を観てしまった。凄いよ、チャゼル監督。見直したよ、チャゼル監督。これからは音楽映画作るより、絶対こういう作風の作品を作った方がよいよ。主人公を演じたライアン・ゴスリングをはじめみんな本当によかった。ニールが宇宙に行って、月で娘の形見を捨てるシーンかなりぐっときたよ。ファースト・マンは月に向かう過程で娘の思いを体験し月で普通の父親になったんだよね。ちなみにこの映画は月でアメリカ星条旗をつきさすシーンはない。そもそもあれ自体色々憶測があるからだろうが、あのシーンをやったらそれこそこの作品の本当の意味であるファースト・マンの意義が失われてしまう。削除して正解だ。そのかわりトランプ大統領がこの映画を観ないと公に宣言しているらしいが、観なくて結構だ。トランプは偏狭な星条旗を自分の家にでもつきさしてろ。それこそ『フロントランナー』でも観てろ。
『アクアマン』
色んな昔話や古典を上手く組み合わせた脚本もよかったが、映像が凄すぎてそれ以外の感想が特にない。ニコール・キッドマンも最高だ。最近はヒーロー映画に強いミドル・エイジ・ウーマンたちがたくさん出てきて本当にうれしい。
『ビール・ストリートの恋人たち』
『ムーンライト』の監督らしく撮影がかなりきれいで特に雨のシーンをあんなにウットリ撮るなんて見事としか言いようがない。しかし黒人の恋人たちが当たり前の愛を享受するのに当時のビール・ストリートは酷すぎる。彼らが受ける人種差別に観てるこちらのはらわたがにえくりかえる。
映画のどこの隅をつついても"女"が生きている映画はごく少数だ。この映画はその中の一つだ。3人の女性それぞれが強く、弱く、気高く、野心家である。この映画のキーワードはおそらく睡眠である。人間として当たり前の機能が彼女たちには奪われている。ある意味色んななことから解放されて睡眠できているレイチェル・ワイズ演じる役どころがこの物語の勝者であろう。眼帯をつけたレイチェル・ワイズだけでもいいから見てほしい。
『アリータ バトル・エンジェル』
かなり金と時間をかけて作った作品だが、興行収入が振るわず作品の評価も低めだ。私は結構好きだし、続編にも期待している。(かなり中途半端なエンディングをむかえている) しかしこの映画の続編がつくられることはないらしい。悲しい。