
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 (Back To The Future) [1985年アメリカ]
1985年、高校生のマーティ・マクフライは、近所に住む科学者のエメット・ブラウン博士(通称ドク)が愛車デロリアンを改造して開発したタイムマシンの実験を手伝うが、誤作動で1955年の世界にタイムスリップ。タイムマシンは燃料切れで動かなくなってしまう。困ったマーティは1955年のドクを探し出し、事情を説明して未来に戻る手助けをしてもらうことになるが、その過程で若き日の両親の出会いを邪魔してしまう。このままでは自分が生まれないことになってしまうため、マーティは未来に戻る前になんとか両親の仲を取り持とうと奮闘する。監督はロバート・ゼメキス。出演はマイケル・J・フォックス(マーティ)、クリストファー・ロイド(ドグ)、リー・トンプソン(ロレイン)、クリスピン・グローバー(ジョージ)、トーマス・F・ウィルソン(ビフ)ほか。
東宝東和が主催する『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の再上映が地元のイオンモールで開催されたので観に行ってきた。作中でマーティが初めてタイムスリップするのが10月26日で、それに合わせての再上映らしい。数年前に4Kでデジタルリマスターされていたのだが、今回上映された版がオリジナルなのかリマスターされたものなのかは分からなかった(絵はあまり綺麗じゃなかったのでオリジナル版かもしれない)。
映画自体は非常に有名で、私も過去に数回観たことあるので軽い感想になるが、やはり娯楽作品として非常に面白い。冒頭のピタゴラスイッチみたいな装置も面白いし、そこでゼメキスにとって80年代とはどういう風に映ってるのかが分かるのも面白い(日本車が台頭し、父親の権威が失墜している)。そこから50年代にタイムスリップして80年代と同じ町なのに全く違う景色に見える演出も見事だ。ゼメキスにとって80年代と50年代は共通点でいっぱいなのだろう(ロナルド・レーガンの回収の仕方も見事だ)。ロレインとジョージがくっつかないとマーティが生まれないパラドックスや過去を変えると良い面と悪い面で未来を変えてしまうことなど日米問わず他作品で見られる「時間」についての表現はきっと本作が元祖なんだろうなと感じた。
ロレインがビフにレイプされそうになって、それを助けたジョージにロレインが惚れるみたいな設定はやはり無理があるというか、女性を馬鹿にしすぎている。またマーティがパーティーでロックンロールとかハードロックみたいな演奏をして驚かせ、それがチャック・ベリーに影響を与えたみたいな、音楽における黒人に対しての白人の文化盗用した事実を修正するみたいなシーンもすごく問題がある。ただこれはのちのロバート・ゼメキスの『フォレスト・ガンプ/一期一会』でもフォレストがジェニーやアメリカの文化に対して同じようなことをやったシーンを描いたので、単純にロバート・ゼメキスの思想なんだと思うし、とても問題がある監督だということを再認識した。1950年代に牧歌的な理想を抱きすぎているのも問題だが(文化が好きなのは問題ないのだが)、ただ単純に聖愚者に徹したいだけなのかと思ったり(それが問題なのだが)。実は今月アメリカではロバート・ゼメキスの新作が公開されるらしく(大統領選と同じ時期?!)、しかもそれがまるっきり『フォレスト・ガンプ/一期一会』と同じチームらしく、どれくらい価値観が変わったのか気になるので、ぜひ日本でも早く公開して欲しい。