
『トラップ』 (Trap) [2024年アメリカ]
クーパーは溺愛する娘ライリーのため、彼女が夢中になっている世界的歌手レディ・レイブンが出演するアリーナライブのプラチナチケットを手に入れる。クーパーとともに会場に到着したライリーは最高の席に大感激の様子だったが、クーパーはある異変に気づく。会場には異常な数の監視カメラが設置され、警察官たちが会場内外に続々と集まっているのだ。クーパーは口の軽いスタッフから、指名手配中の切り裂き魔についてのタレコミがあり、警察がライブというトラップを仕組んだという情報を聞き出す。しかし優しい父親にしか見えないクーパーこそが、その残忍な殺人鬼だった。監督はM・ナイト・シャマラン。出演はジョシュ・ハート(クーパー)、アリエル・ドノヒュー(ライリー)、サレカ・シャマラン(レディ・レイブン)、アリソン・ピル(レイチェル)、ヘイリー・ミルズ(グラント博士)ほか。
今年は『ザ・ウォッチャーズ』のイシャナ・ナイト・シャマラン監督に続き、その父であるM・ナイト・シャマランの新作『トラップ』でシャマラン一家の年であるが、両作ともシャマラン一家が立ち上げた製作会社が製作していることをふまえると、本当にアメリカの芸能がファミリービジネスであるということを再確認させられる。本作ではM・ナイト・シャマランの娘の1人でありミュージシャンのサレカ・シャマランが出演している。
私はアメリカの芸能がファミリービジネスであることを責めるつもりは一切ないし、それと作品単体の出来は関係ないとも思っている。ただ本作の出来があまりに良くないと思ったので、どうしても作品を観終わった後の感想が「お父さんが娘を映画に出したかっただけじゃん」になってしまう。そうこれは究極の親バカ映画であり、Nepotismの頂点みたいな作品であった。「木乃伊取りが木乃伊になる」的なアイデアだけあって、それを見せるためのヒネリが無いから退屈だった。唯一、ジョシュ・ハートネットのジャック・ニコルソンのような演技だけが見どころだった。
また本作で一番問題あるのがライブのシーンだ。近年稀にみるダサさというか、突っ込みどころが多すぎる。殺人鬼が会場にいると確実に分かってたらライブは中止にするだろうし、SNSで炎上しそうな観客の捜査をする警察に協力するとは思えない、ライブ中に観客がロビーにあんなにいるのはおかしいし(会場にほぼ人いないだろ)、レディ・レイブンは歌姫的な売り方をしているのなら衣装チェンジを一度もしないのもおかしいし、他にもライブシーンがおかしいところだらけなのだが、最後に何か回収されるんだと思ってたら(それこそライブ会場を舞台にデスゲームみたいなものに参加させられているのかと思った)、ライブ自体はそのままで終わってしまったので「あれ正気で演出したのか」と驚いた。観ててとにかく恥ずかしい映画だった。