
『28年後... 白骨の神殿』 (28 Years Later: The Bone Temple) [2026年アメリカ・イギリス]
28年前、人間を凶暴化させるウイルスがロンドンで流出してパンデミックを引き起こし、多くの死者を出した。海を隔てた孤島という環境のためウイルスの蔓延を免れたホーリーアイランドで生まれ育った少年スパイクは、本土で生き延びたドクター・ケルソンと出会い、そして病気の母親を看取った。その後、ウイルスに覆われたイギリス本土で生きる道を選んだスパイクは、感染者に襲われかけたところを、ジミー・クリスタル率いる全員金髪の暴力的なカルト集団「ジミーズ」に救われる。しかし、彼を待っていたのは救済ではなく、救いのない世界で味わうさらなる絶望だった。監督はニア・ダコスタ。脚本はアレックス・ガーランド。出演はアルフィー・ウィリアムズ(スパイク)、レイフ・ファインズ(ケルソン)、ジャック・オコンネル(ジミー)、キリアン・マーフィほか。
本作といい『マーベルズ』といい、ニア・ダゴスタ監督はいっつも難しすぎる課題に取り組んでいて、リスクを恐れず挑む姿は最近だと珍しいくらいだ。これは本当に凄いことだと思う。私は本作はけっこう楽しんだのだが、興行収入は製作費と比べるとあまり芳しくないので、ニア・ダゴスタ監督の今後が少し心配になる。確かに前作よりアクション要素が減ってゾンビ映画的な映えが無いのは残念だが、ラストにキリアン・マーフィが演じている役のセリフにある通り、本作で描き方かったのは回復と希望だろう。それを描くのにどうしても地味になってしまうのはしょうがない。
ポスターで描かれるシーンがけっこう面白いところで出てくるというか、アイアン・メイデンの曲が流れてケルソンが頑張って火を使って踊ったりして子供たちを圧倒させるのだけど、ああやって文化って生まれるんだろうな。本作は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と同じエネルギーで作られていると思う。それ以外にもケルソンを通してDuranDuranやRadioheadの曲の使い方がけっこう面白かった。特にDuran Duranの"Ordinary World"の使い方なんて泣かせる。
前作でもそうだったが、とにかく本作は男性のヌードとペニスが凄く印象的だ。ケルソンもペニスを見せるけど、同時にウィルスから回復しようとするサムソンもペニスが印象的だ。こんなに商業映画でペニスが出てくる映画もそうそうないと思う(全部フェイクだけどね)。そこに男性同士のクィアな友情がのっかるので(最後は残念なことになるが)、ああいう何でもないことが癒しや回復につながっていくんだよね。本作はケルソンの行動を通して文化と癒しの誕生を上手に描けていたと思う。