
『おんどりの鳴く前に』 (Oameni de treaba) [2022年ルーマニア・ブルガリア]
ルーマニア北東部モルドバ地方の自然に囲まれた静かな村。野心を失い鬱屈とした日々を過ごす中年警察官イリエは、果樹園を営みながらひっそりと第2の人生を送ることを願っていた。そんなある日、平和なはずのこの村で、斧で頭を割られた惨殺死体が発見される。捜査を任されたイリエは、美しい村に潜んだ闇を次々と目の当たりにしていき、やがて驚くべき結末にたどりつく。監督はパウル・ネゴエスク。出演はユリアン・ポルテルニク(イリエ)ほか。
おんどりが鳴くというモチーフはどうやら聖書から来ているようだが、私はそのエピソードを全く知らないので、本作だけの感想になる。日本のポスターにクエンティン・タランティーノ×リューベン・オストルンドと書いてあるが、本当にそういう感じの映画だ。平穏を望むのに不条理が次々に襲ってくる感じとか、本作ラストの地べたを這いずり回るような銃撃戦とか、本当にクエンティン・タランティーノ×リューベン・オストルンドである。
一度は権力に飲み込まれたが、もう一度ヒーローになりたいと望んだのに、結局死ぬことでヒーローになれたという皮肉endなので、見終わっても何とも言えない、心に何か引っ掛かるような映画だ。まぁデビュー作らしいので、まだ大目に観れるが、こういう作風が続くのはキツイ感じもある監督になりそうだ。