@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ボストン1947』

『ボストン1947』 (Road to Boston) [2023年韓国]

1936年、ベルリンオリンピックのマラソン競技で日本は世界新記録を樹立し、金メダルと銅メダルを獲得した。しかしその記録を出した選手は、日本名の孫基禎と南昇竜として参加した韓国のソン・ギジョンとナム・スンニョンだった。第2次世界大戦の終結とともに韓国は日本から解放されたが、メダルの記録は日本のままだった。ある日、荒んだ生活を送っていたギジョンのもとにスンニョンが現れる。2人は「第2のソン・ギジョン」と期待される若手選手ソ・ユンボクを1947年のボストンマラソンに出場させるためチームを組み、“祖国の記録”を取り戻すべく数々の試練に立ち向かっていく。監督はカン・ジェギュ。出演はハ・ジョンウ(ソン・ギジョン)、イム・シワン(ソ・ユンボク)、ペ・ソンウ(ナム・スンニョン)、キム・サンホ(ペグ・ナムヒョン)ほか。

 

 植民地支配の歴史を無視して"戦後復興"を掲げてオリンピックを承知した日本と祖国の独立を掲げてオリンピックに参加した韓国とでは隔絶の差があり、やはり公的な場で日本の国歌なんて流してはいけないんだろうなと改めて思いながら鑑賞していた。確かにちょっと盛りすぎじゃないかと思うけど(『ブラザーフッド』の監督だし)、先人に感謝の意を表している側面がとても大きいのであのような演出になったのかと。

 

 前半の韓国パートは手練れな演出にのせて非常に早いテンポで進んでいくのでちょっと驚く。ソン・ギジョンが参加するまでの心の変化はとにかく早く、さらにソ・ユンボクがマラソン競技に本格的に参加するようになるまでにある母親の死などのシーンもあっという間だ。とにかく前半は"余韻"というものが無い。それは編集にも表れていて、"パッ"とあっという間にシーンが切り替わる。マラソンに止まっている暇なんてないんだと言わんばかりだった。後半のボストンのパートでは、しっかり海外で大型ロケ隊だして撮影しているのが伝わるくらい豪華だ(メインの撮影地はオーストラリかな?)。エキストラもたくさん雇っていて大変景気が良いし(しっかりSAGのマークがエンドロールに出てくる)。祖国の国旗を胸に掲げれるようになるまでの奮闘や実際のマラソンのシーンも興奮した。もちろんあのレースの結果は本当だと事実も凄い。前半の韓国のパートがやたら早く進んだのは、ボストンでのパートをしっかり伝えたからだったのかと思うと納得した。

 

 全体的にギャグが多くて笑える映画のように作ってある(特にホテルのトイレのシーン)。またソン・ギジョンとソ・ユンボクの師弟関係も素晴らしいが、個人的にはナム・スンニョンのソン・ギジョンに対しての愛情が愛おしくて、ちょっとブロマンスの要素もある(というかペ・ソンウがアイドル的な魅力を持っていてずっと可愛い)。ただソンもナムも既婚者であることをしっかり明示されるので、同性愛的な欲望はスポーツ映画らしく禁じられている作品でもある。