『ハロウィン THE END』(Halloween Ends) [2022年/アメリカ]
1978年のシリーズ1作目から40年後を描いた2018年製作の『ハロウィン』、その続編として2021年に製作された「ハロウィン KILLS」に続く物語が展開する。殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズが再びハドンフィールドを恐怖に陥れた事件から4年、街は少しずつ平穏な日常を取り戻しつつあった。マイケルの凶刃から生き延びたローリー・ストロードは孫娘のアリソンと暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上にわたりマイケルに囚われ続けた人生を解放しようとしていた。しかし、暗い過去を抱えた青年コーリーが、こつ然と姿を消していたマイケルと遭遇したことから、新たな恐怖の連鎖が始まる。ローリーは長年の因縁に決着をつけるため、マイケルとの最後の対峙を決意する。
監督&脚本はデビッド・ゴードン・グリーン。出演はジェイミー・リー・カーティス(ローリー)、アンディ・マティチャック(アンディ)、カイル・リチャーズ(リンジー)、ウィル・パットン(フランク)、ローハン・キャンペル(コーリー)ほか。
本作をラストに一旦終了する本シリーズ。30年ぶりのシリーズ復活で3作も続編を作れたあたりに本シリーズの人気が伺えると思う。前作と比べると恐怖描写が少ない気がしたが、全体的に面白かった。
最近観た『エスター ファースト・キル』と似ていたのが、本作で怖い存在であるマイケル・マイヤーズより"怖い"存在が途中から出てくる。その怖い存在が、いわゆる街に伝染した恐怖の存在(=アメリカ郊外の見えない恐怖)を分かりやすく人間化した存在で、30年前に実はこういう街の閉塞感がマイケルという殺人鬼を生み出したのではないかという想像を促してくる。
本シリーズのテーマには"ファイナルガール"のトラウマがあると思うが、本作では街に根づく根も葉もない噂と事実を湾曲され誤解され街の住人から中傷されるローリーの姿が強調される。(これが少しスラット・シェイミングに似てる) この姿が街の人間の噂に苦しんでいるコーリーに重なる。二人とも孤独だ。ローリーがマイケルに付きまとわれているのは孤独だからなのだろうか。
ラストはローリーはマイケルに三文判突き詰めて倒すのだが、その死体を街中で晒し街の人間にブギーマンは死んだんだということを知らしめる。街の根も葉もない噂にさらされたローリーの主体性が回復する素晴らしいシーンだ。ただしラストのマイケルの死体を街中で晒すシーンはどうもキリストの十字架を持ちながら磔にされたのを想起させるので、もしかしたらマイケルは復活するのかもしれない笑
劇中でフランクが日本語を習って日本で桜を見るんだと言っていたのでぜひ実現すると良いですねとも思った。「シャツをなくしました」みたいなセリフが役に立つのかは皆目見当つかないが。