『イニシェリン島の精霊』(The Banshees of Inisherin)
1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。監督はマーティン・マクドナー。コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガンが出演。
冒頭からコルムの「お前とはもう口きかない」という小学生みたいなやりとりから(12歳かよというツッコミはある)、次第に血なまぐさい争いになる。稚拙なやり取りや大人になり切れない会話や関係、ゲマインシャフトのつながり、人付き合いを一方的に切ってしまうことの危険性や独りよがり、人を病的だと勝手に決めつける紋切り型な態度、遠く離れた1923年のアイルランドの孤島での創作なのに、どうして現代に生きる私にこんなにもつきささったのだろうか。そしてその争いに巻き込まれるのはいつも若者や小さな命たちだ。
この映画の唯一の救いはコルムの妹の存在だ。彼女はあの島から抜け出せたのは、外行きの服と何か好きなものがあったからだけなのか。映画が始まってからずっと彼女だけが島への違和感と常識を持ち合わせていたような気がする。
映画全体も非常に景色がきれいだが、飽きない会話劇が進み非常に面白い作りだ。パンフレットも購入した。(パンフレット購入した映画って必然的に感想薄くなってしまうんですよね、書いてあること通りで別に私がここで考察したりする必要を感じなくなってしまうので笑)