@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ヤクザと家族 The Family』WOWOW

『ヤクザと家族 The Family』

 

『新聞記者』の藤井道人が監督。1999年。不良少年の賢治は偶然からヤクザである柴咲組の組長、柴咲と出会い、その子分となる。2005年、柴咲組で出世した賢治だが、組は敵対する組織、侠葉会との抗争が激化し、賢治は自分の家族のようになった組を守ろうと決意する。2019年、懲役を終えて刑務所から出所した賢治は、自分の組の存続が危ういことに衝撃を受ける。また14年前に好意を寄せたホステスの由香と再会するが、彼女の娘の父親が自分だと知る。

 

 映画は賢治がヤクザの組長に認められ子分になり、ある出来事がきっかけに殺人を犯し刑務所に入る。そこから14年の刑期を終え出所してきたら、ヤクザを取り巻く周辺があまりにも変化しており、それに戸惑う賢治とその仲間と家族を描いている。

 

 というかこの映画のメインはヤクザとしてのしあがっていく賢治ではなく、刑期を終えた後の賢治がいかに周りを破滅へと導いていくかが主題になっている。そして現代ではヤクザより警察の方が力を持っておりヤクザの活動が制限されており、その苦労をこの映画では描いていた。これは監督の前作である『新聞記者』でもジャーナリズムよりより強大な権力があることを描いていたが、本作でもヤクザよりさらに強大な権力があることを皮肉に描いていた。

 

 また本作の特徴はヤクザからカタギになっても生きていくのがいかに困難であるのかを描いている。賢治の恋人である由香とその娘が賢治がヤクザ上がりであるのが知れると職場や学校を追い出されその怒りをしっかりと賢治にぶつけるのだが、これは今までのヤクザ映画へのアンチテーゼというか、今までヤクザの周りいる本当の家族たちが踏みにじられてきた苦労などをこの映画ではしっかりと賢治たちヤクザにぶつけている。賢治たちはじめ男性がこの映画の主演であるが、実質周りにいる女性や子供たちが実はこの映画の核でもある。『アイリッシュマン』やら『ゴッドファーザーPART3』と類似できるかもしれない。

 

 そしてこの映画はよりヤクザの跡が濃い人生を送り苦労する羽目になる暗示があるのが、本作で登場する翼である。翼は育ってきた環境うえ、カタギになることができす、それでも立派なヤクザになれずいわゆるハンぐれみたいな中途半端な感じでしか生きていくことができない。結果的にヤクザと警察の縦の権力抗争に巻きこまれるのは若い世代であり、負の連鎖が続いていくことを暗示しているのだ。そして翼がグレーな商売をしている先で犠牲になっているのはいわゆるJKビジネスだったり性産業に従事している女性たちである。これは賢治もしていたことであるが、結果的に変わらず女性たちは搾取され続けるんだよな。まあこの映画はちゃんとそこを描き切っているかと言えば、全くそんなことは無かった気がする。