GB19940919’s diary

GB20th(https://twitter.com/GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ガガーリン』

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ガガーリン』(Gagarine)

 

フランス、パリ郊外に実在するガガーリン公営住宅を舞台に描いた青春映画。パリ東郊に位置する赤レンガの大規模公営住宅ガガーリン。宇宙飛行士ガガーリンに由来する名を持つこの団地で育った16歳のユーリは、自らも宇宙飛行士を夢見る一方で、かつて自分を置いていった母の帰りを待ち続けていた。ところがある日、老朽化と2024年パリ五輪のため、ガガーリン団地の取り壊し計画が持ち上がる。住人たちの退去が進む中、ユーリは母との大切な思い出が詰まった団地を守るため、親友フサームや思いを寄せるディアナとともに、取り壊しを阻止するべく立ち上がる。監督は、これが長編デビュー作となるファニー・リアタール&ジェレミー・トルイユ。映画初出演で主演のユーリ役をアルセニ・バティリ、ディアナ役をリナ・クードリが務める。

 

 この作品の全てが好きだ。上映時間、映像、音楽、演技、セリフ、照明、日常の中に組み込まれる密かな宇宙のSF演出、ノスタルジーと未来への葛藤、生まれた町や住んでいる場所への愛憎、全てが私の好みであった。『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』と類似性が指摘できる作品だが、個人的にはジブリ作品の要素も随所に感じた。例えばユーリが撤退が決まった団地の部屋をDIYで植物だらけにするのとかはナウシカにようだし、生まれた町や団地がなくなっていくことへの複雑な気持ちと団地が実際無くなった時の気持ちと現実の折り合いをつけることとかは平成狸合戦ぽんぽこだった。

 

 本作はおそらく公共性と人々の連帯の話だと思う。団地が爆発されるシーンで母の愛を失い、唯一のアイデンティティである団地を失い、恋人であるディアナも失い孤独なユーリがSOSのモールス信号を送って宇宙空間に投げ出される演出は、訓練中に亡くなったガガーリンを連想させる。しかしユーリには彼を見つけてくれるディアナがいて、抱きかかえてくれる住民たちがいる。たとえ団地という公共性を失っても人々が連帯することができる。場所は変わっても人々の連帯が一人の人間の孤独を癒すことができる。本作はそれを伝えたかったんじゃないだろか。