『ただ悪より救いたまえ』
凄腕の暗殺者インナムは引退前の最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害する。コレエダの義兄弟だった冷酷な殺し屋レイは復讐のためインナムを追い、関わった者たちを次々と手にかけていく。一方、インナムの元恋人は彼と別れた後にひそかに娘を産みタイで暮らしていたが、娘が誘拐され元恋人も殺されてしまう。初めて娘の存在を知ったインナムは、彼女を救うためタイへ急行。そしてレイもまた、インナムを追ってタイへとやって来る。2人の戦いは、タイの犯罪組織や警察も巻き込んだ壮大な抗争へと発展していく。
まず韓国映画だけど、映画の舞台のほとんどが韓国ではなく日本とタイがメインなのが新しいなと思った。本作の内容は『レオン』に似ているが、あの追ってくる殺し屋のレイはとんでもない。演じたイ・ジョンジェは見事としか言いようがない。もちろんインナムを演じたファン・ジョンミンも素晴らしい。
映画本編は大変よく出来ておりずっと目を離さず観ていられるが、気になる点が二つあぅた。まず撮影の視覚効果について。韓国と日本のシーンは視覚効果なしで普通の撮り方をしているにもかかわらず、なぜかタイのシーンではずっと黄色い視覚効果が入っており、いわゆる発展途上な感じを演出しているのだろうけど、それは人種差別的な意味合いがあるだろうから、あまりやるべき視覚効果ではない。次に女性の描写が薄いというか都合が良い気がする。まず殺された元恋人は最後まで主体性は回復しないし、その娘もあんなにひどい目に合ったのに急にインナムに心を開くのはさずがに都合が良すぎるのでは。