@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『BILLIE ビリー』

ドキュメンタリー映画の意義は分かるけど、ビリー本人の証言が少ない...

 

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BILLIE ビリー』

 

 不世出のジャズシンガー、ビリー・ホリデイのドキュメンタリー。人種差別と闘い、酒と薬におぼれて身心がボロボロになりながらもステージに立ち続けたビリー・ホリデイだったが、その人生には謎に包まれた部分が多い。そんな彼女の生きざまに共感したジャーナリストのリンダ・リプナック・キュールが、1960年代に10年間かけて関係者にインタビューを重ねた膨大な録音テープが、近年になって発見された。映画は、その貴重な証言テープをもとに構成。トニー・ベネットカウント・ベイシーチャールズ・ミンガスといったアーティストから、ビリーのいとこや友人、ポン引き、彼女を逮捕した麻薬捜査官、刑務所の職員など多岐にわたる関係者の証言を通して、知られざるビリーの素顔を明らかにする。

 

 このドキュメンタリー映画が他のミュージシャンのドキュメンタリーと違うのは、この映画の元インタビューを集めたジャーナリストであるリンダが不明な理由で無くなってしまい、長い間門外不出だったインタビューに焦点を当てて作った点であろう。そのためビリー・ホリディだけでなく、リンダ本人にも、なぜリンダがビリーに共感しビリーの周囲にいた人々にインタビューし伝記を書こうと思ったのかなどの焦点があたっている。そのためリンダ本人がビリーにインタビューした様子は一切ない。

 

 映画の内容はビリーが駆け出しのころから唯一無二のシンガーになるまで、そして周囲にいた男性たちに振り回されていた証言や黒人女性歌手としての苦悩などが明かされている。また歌唱シーンもあり、大変そのシーンは魅力的である。特に奇妙な果実を歌うシーンは大変思い起こされる。

 

 このドキュメンタリーの残酷な部分は、ビリーの周囲にいた男性たちの冷酷なまでの視線である。例えばビリーは結構セックスに関してはフランクで誰とでも寝るようだったらしいが(中には女性も含まれる)、それはおそらくビリーの自己肯定感や育ってきた環境や女性としての苦悩や対処としての果てみたいな故にそういうセックス観になったのだろうと思うし、よくよく今思えばビリーに対してもっと他の方法で接することができたはずなのに、このインタビューで語る男たちはまるで武勇伝のようにビリーのセックス観を語っており、大変残酷だと思った。ビリーの黒人としての苦労は理解していたはずなのに、黒人女性としての苦労は理解されていなかった。ぜひこの辺を暴いてほしかったし、だからこそインタビューアーのリンダは伝記発表までに時間がかかったのではないかと思う。何分ビリーとリンダの証言が少なすぎて....