@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ノマドランド』

どう評価していいか迷う...

 

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ノマドランド』(Nomadland)

 

 

2008年アメリカの大手証券会社の破綻に端を発する未曾有の経済危機が全世界を襲った。その影響は現役世代だけではなく、リタイア世代にも容赦なく降りかかり、多くの高齢者が家を手放すことになった。家を失った彼/彼女らは自家用車で寝泊まりし、働く口を求めて全米各地を動き回っていた。専門職での経験があったとしても、それを活かせるような職がほとんどなく、安い時給で過酷な肉体労働に従事するほかなかった。そんな不安定な状況下でも、彼/彼女らは自尊心と互助の精神を保持し続けていた。彼/彼女らは「現代のノマド」とでも言うべき存在である。

本作の主人公、ファーンも「現代のノマド」の1人である。ファーンはネバダ州エンパイアで臨時教員をやっていたが、工場の閉鎖で街の経済が大打撃を受け、そのあおりで彼女も家を手放す羽目になった。途方に暮れたファーンだったが、自家用車に最低限の家財道具を積み込み、日雇いの職を求めて全米各地を流浪する旅に出た。その過程で、ファーンは同じ境遇の人々と交流を深めていくのだった。

本作はそんなファーンの姿を通して、「現代のノマド」の実像を描き出していく。

 

 

  監督はクロエ・ジャオで主演はフランシス・マクドーマンドという組み合わせで、海外での評価もかなり高く一番オスカー受賞する作品と言われている。特に監督がアジア系の女性で、それを踏まえてもかなり画期的な作品である。私も鑑賞してとてもよく出来た作品だと思った。

 

 しかし、私はよく出来ていると思うが、どう評価していいか迷う作品だ。まず監督の作風らしく全編ドキュメンタリーを観ているような作風で、演者もほとんどが本当のノマドの人に演じてもらっているらしく、とても本物風だ。ドキュメンタリーなのか映画なのか正直分らない。

 

 まず私は役者を雇うべきじゃないかと思う。別にドキュメンタリーを観たいわけじゃないし、だったら最初からノマドたちに密着したドキュメンタリー映画を制作すればよいのでは?とすら思う。まあこういう映画はとにかく当事者たちへのリスペクトと取材が無いと映画が作れないから、ノマドたち本人たちを映画に登場させようという心意気は何となく理解できるが私は本物の役者を雇えよと思ってしまうのだ...そもそもこの映画は労働問題にあまり関心が無いのではないか。主人公のファーンは季節労働者としてアマゾン倉庫で働くのだが、アマゾン倉庫はブラックな労働環境としてかなり有名で告発記事もたくさん出ている。現にこの映画のアマゾン倉庫の描写に対しての批判が出ているくらいだが、ファーンはそこでただ働くだけだ。これだとアマゾン倉庫での労働問題はスルーされてままで、倫理的にどうなのかと思うし、だからこそ、この映画は本物の役者を雇わないところも含むめて労働問題に対してとにかく興味ないんだなと思う。まあ高齢女性の労働をともなくジェンダーの問題や車上生活を送るうえで遭遇するジェンダー問題を良く描いていると思うが。(ちなみにノマドは圧倒的に白人中年女性が多いらしく、これは女性は人生の上で子育てなどお金を稼げなくなってしまうときがあったり元々女性の賃金が低いということがあり、貯金が男性より圧倒的に少なく、離婚した女性や未婚の女性が特にノマドになりやすい。逆に言えば車上生活をしていても白人女性だから警察に報道されにくいためノマド生活をしやすいという特権も持っている)