@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ミナリ』

良くも悪くも超がつくほどのアメリカ映画だ... 

 

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『ミナリ』(MINARI)

 

韓国系の移民、ジェイコブ・イーは一攫千金の夢を掴むべく、妻(モニカ)と子(デヴィッドとアン)を引き連れてアーカンソー州の田舎町へと移住した。ジェイコブは一から農地を開拓して大農場主に成り上がろうとしていたが、モニカはそんな夫を冷ややかな目で見ていた。ほどなくして、モニカの母(スンジャ)も一家と同居することになった。スンジャは並々ならぬ毒舌家だったが、どこか憎めないところもあり、一家の生活(特にデヴィッド)に刺激をもたらすことになった。

その一方で、農場経営は一向に軌道に乗らず、家計は火の車であった。様々な困難に直面したジェイコブは挫けるどころか、却って成功への意欲を燃やしていた。そして、全てを犠牲にする勢いで経営に没頭していったが、それがとんでもない事態を引き起こしてしまう。

 

  A24スタジオ製作で、監督もキャストもほとんどがアジア系で、話の内容もアジア系移民の家族の話ある。映画の中では特に明言されないが、時代は1980年代だ。映画の中では韓国語と英語が入り乱れる作品だ。しかしこの映画を外国映画扱いされてしまい、ゴールデン・グローブ賞では外国語作品のカテゴリーにいられてしまい、物議を醸していた。(オスカーはその批判を含めちゃんと作品賞に入れていた)

映画を観てまず思うのは、この映画は良くも悪くもめちゃくちゃアメリカ映画である。それなのに外国語映画扱いを受けるのは、正直目が節穴だと思う。

 

 まず良い意味でアメリカ映画なのは、アメリカ人が美徳とする家族、労働、勤勉、熱心な信仰心がテーマである。その美徳とために家族のために頑張る父親が暴走した結果、家族が振り回される映画なんて、アメリカ映画にありふれているじゃないか。しかもアメリカ的な価値観を受け入れるということ=最後はダウンシングという非科学的な方法で畑の水を探していたが、これは科学を否定し、奇跡を信じている。これもアメリカ映画っぽいし。

 

 悪い意味は、父と息子の関係にばかり焦点を当てすぎて、母親と娘の人生が薄い。つまり女性描写が悪いのだ。これは悪い意味でのアメリカ映画ぽっさである。80年だが舞台でも、今は2021年なんだから、少しは創意工夫してくれ。こういう悪い点を批判する批評ってアメリカでは出てないのかな?『フェアウェル』もアジアの悪い価値観を美化しすぎじゃないかと思ったが、それに対しての批判があまりなかった。なんかアジアやアジア系の人々がモデルだからアメリカ人が中心のアメリカの映画メディアはこういう映画を批判しずらいのかな?だとしたらアジア系のライターやアジア系のジェンダーに詳しい人にレビューしてもらってください。正直この映画の中で描かれる価値観は批判されるものです。

 

 それにしてもこの映画の監督は自らの幼少期をモデルにしているらしいが、正直美化しすぎじゃないかと思う。特に監督の姉の描写が薄いし、彼女の苦労があまり見えてこないし、それにお母さんもただ家族を心配しているだけだ。監督の幼少期の身の回りにいた"僕を無条件で支えてくれた女性たち"の描かれ方が、非常に『ROMA/ローマ』に似ているなと思う。