@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『キング・オブ・シーヴズ』

 

有害な男性性を持った高齢男性たちによる有害な友情について

 

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『キング・オブ・シーヴズ』(King Of Thieves)

 

泥棒稼業から足を洗ってからというもの、「泥棒王」とまで呼ばれたブライアン・リーダーは犯罪と無縁の生活を送っていた。ところが、77歳になったある日、ブライアンは最愛の妻に先立たれてしまった。そんなブライアンの元に「ハットンガーデンにある宝石を盗み出さないか」との誘いがあった。ブライアンはその誘いに乗ることにし、ベテラン揃いの強盗チームに加わった。ブライアンたちは計画通りに宝石類を盗み出すことに成功したが、分け前を巡ってメンバー間に不信感が醸成されていく。

 

 2015年にイギリスで実際にあった強盗事件をベースにした本作。実は同じハットンガーデンの強盗事件を描いた映画は『ハットン・ガーデン・ジョブ』という作品があるのだが、本作は実際の強盗事件後の犯人たちの関係性に焦点を当てている。

 

 まず有害な男性性を持った男性たちの友情が強盗事件後に露呈していくさまが非常によく出来た映画である。犯罪映画としてはあんまりおもしろくないほうだと思うが、本作はおそらくそこは重要視していない。本作は男性たちの有害な友情に焦点を当てているからである。

 

 物語が始まってたからとにかく男性たちは友達のことを下げた発言をしたりする。おそらくこれは有害な男性性を持った男性たち特有のコミュニケーションで(本人たちはコミュニケーションだと思っているが、傍から見ればディス・コミュニケーションである)、これが強盗事件後に輪をかけてひどくなる。これは芸術などで美化されがちな男性のコミュニケーションを皮肉った作品であったと思う。そして強盗集団の中で謎が多い、若い男性に最終的に高齢男性たちが出し抜かれるさまは、因果応報である。こういう有害な男性性を持った男性たちの友情は友情ではないのだ。