『アーニャは、きっと来る』(Waiting For Anya)
第二次世界大戦中、ナチス占領下のフランス。スペインとの国境沿いにあるピレネー山脈の麓にある小さな村にある日、1人の男がやって来る。彼の名前はベンジャミン。実は彼はユダヤ人で、ナチスの迫害からユダヤ人の子どもたちを守るため、この村からピレネー山脈を越えてスペインへ逃がすという危険な計画を実行するために来たのだった。
村の羊飼いの息子で13歳の少年ジョーはベンジャミンの計画に賛同し、彼に協力することに。やがて、ベンジャミンの計画を知ったジョーの父親を始めとする村人たちの協力も得て、ナチスの厳重な監視をかいくぐって秘密裏に計画は進められて行く。
しかし計画実行当日、思わぬアクシデントが起きる。ベンジャミンが待つ1人の娘アーニャが姿を見せないのだ。
ナチス・ドイツの占領下における子どもの姿を描くという内容ではこないだ観た『異端の鳥』と同じであるが、児童文学が原作である『アーニャは、きっと来る』のほうが暴力描写はほとんどなく観やすい作品であった。描かれるナチスもそんなに暴力を駆使しないし(最後にとんでもない暴力行為を酷使する)村人たちも好意的に交流する(言い方を変えるとそうしなければ生きていけなかったのだ)。そのため子ども目線で進むこの映画はトーマス・クレッチマン演じるナチスの将校も優しそうに見えるし。しかしベンジャミンの捕獲と最後のルーベンの射殺を通して戦争と占領の残酷さを知るのだ。児童文学であるが、急に突き放されたような気分になるのだが、やはり戦争映画はこういう感じにしなければいけないものなのだなと思う。しかし、ルーベンの射殺は必要だったのか?あの描写をおれるのなら、もう少しルーベンに対する主人公のジョーの心情描写がいると思う。
映画の内容以外だと、南フランスの景色は美しい。また役者の演技もとても良かった。(フランス人とドイツ人とユダヤ人しか出てこないが、言語は全て英語だった...)
『タクシードライバー~約束は海を越えて~』のトーマス・クレッチマンが出ていたし、『アダムス・ファミリー』のモーティシア役だったアンジェリカ・ヒューストンも出ていた。