@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『幸せへのまわり道』

 


f:id:GB19940919:20201023135511j:image

『幸せへのまわり道』(A Beautiful Day in the Neighborhood)

 

ロイド・ヴォーゲルは優れたジャーナリストだが、斜に構えて物事に臨む傾向があった。そんなある日、ロイドは子供番組の司会者として人気を博していたフレッド・ロジャースに関する記事を書くことになり、取材のために彼の仕事場を訪ねた。フレッドは鋭い観察眼の持ち主であり、ほんの少し会話しただけで、ロイドが壁にぶち当たっていることを見抜いたのである。

本作はフレッドと交流する中で、ロイドが物事に真剣に向き合うようになり、長らく放置していた家族の問題に立ち向かっていく姿を描いた作品である。

 

 私が子どもの時から大好きなトム・ハンクスが出演し、『Can You Forgive Me ?』の女性監督マリエル・ヘラーが監督している。日本に住んでいる私にはフレッド・ロジャースさんのことを全く知らないが、ロジャースのことを知らなくても大丈夫。

 

 昨今のアメリカ映画は大統領が有害な白人男性性の塊みたいな人のせいで、そういうテーマを扱った作品がとにかく多い中で、この『幸せへのまわり道』も同じテーマを踏んでいる。しかし他の同じテーマの作品と比べて圧倒的にこの作品の出来が高く、好きな作品だ。

 

 自分の父親に負い目を感じ(それなのに父親と同じ誘導くな男性性を抱えている)ているロイドに、ロジャースはかつての自分を重ねて話を聞くという(または話す)、一見地味ではあるが、実は男性にとって一番大事なことをこの映画ではメインに添えている。そう男はこうあれではなく、自分にとって大切なのは話をする、気持ちをちゃんと伝えるのが大切なんだよね。こんなに男性が抱えやすい怒りや有害な男性性に対して、誠意に向かい合っている作品であった。あまりこういう言い方は好きではないが、男性は観たほうが良い。

 

 映画の作り自体は、フレッドの子供番組のようにセミ・ミュージカルのようになっていたり、セットや人形がロイドの心理を表していたり、かなり凝った映画である。もちろん演者も全員素敵で、特にマシュー・リスが良い。(トムは言うまでもなく良いし、女性監督の作品に出てありがとう。彼は昔から女性監督の作品に出ているしこれからも出てください。)

 

 こういう男性のジェンダー問題を扱い、男性が作った脚本を、女性が監督するってすごい意味がある作品だと思う。今年のベスト間違いなしである。