@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ドント・ウォーリー』

そういう所だぞ、カス・ヴァン・サントの悪いところは

 

f:id:GB19940919:20190518235503j:plain

 

『ドント・ウォーリー』(Don't Worry, He Won't Get Far on Foot)


 主人公ジョン・キャラハンの車いす生活がメインになるのかと思いきや、アルコール使用障害との戦いがメインテーマであった。グループ・セラピーを通して自分の本当の問題と向き合い、そして自身の風刺画の才能に気付いていく点を非常に丁寧に少し可笑しくユーモアあふれる描き方をしている。

 しかしこの映画で一番目立つのはジョンが日常を過ごしているポートランドである。(サント監督もポートランド出身または現在住んでいるらしい) 映画の設定は1970年代あたりだろうが、さすが全米で一番リベラルな街と言われているだけあって、登場人物や街の様子がとてもリベラルであるし、映画の演出も街のそういう所を映し出している。例えばジョンが公園で隠れて飲酒しているシーンで出てくるベンチに座っているゲイ・カップル。あんなに堂々とゲイのカップルが公園のベンチで手をつなぎあっているシーンは70年代のアメリカでは結構珍しいのではないかと思う。しかしポートランドでは普通のことで誰も奇怪な目で見る人はいない。また映画の中でときよりジョンの最大の理解者であるドニーをはじめゲイたちが生き生きに暮らしていることを暗示するセリフも出てくる。そして車いす生活になっても大学へと進学できる社会でもあることが分かるし、ポートランドは70年代ではあるし今と比べれば不便なところもあると思うが、当時にしてはとても暮らしやすい街であることが分かる。確かにポートランドに住んでいれば、Don't Worry、心配いらないのかもしれない。

 良い映画だと思うが、私は女性の描写がかなり都合が良いと思うし、というかかなり悪い。その辺本当にカス・ヴァン・サントは変わらない。まずジョンが入院中に勃起障害を直すために看護師にオーラスセックスするシーンがあるが、なんかすごい腹立つ。普通にセクハラじゃん。次に長年の確執のあるジョンの母親だ。最終的に母親との関係は自分が許すことで解決するんだけど、その母親が天使のように出てくるのだ。私はサント監督の女性描写を「女性を天使かなんかだと思ってる」と解釈していたので、この映画で母親が天使のように出てきて、上映中思わず笑ってしまった。本当にそういうところだよ。またジョンの恋人であるアンヌの描写は非常に軽い。まずなぜジョンの入院する病院に来たのかが分からない。急に現れては天使のように微笑むブロンド美女ってかなり都合よすぎる。そのためジョンとのセックスシーンはかなり腹立った。というか私の好きなルーニー・マラが演じていたから、なおさらアンヌの描写に腹が立った。サント監督とホアキンに人質に取られているような気分だった(笑)サント監督、いい加減学びなさい。またレズビアンの風刺画は狙いやメッセージは分かるが、あの流れで出したらよくない。カス・ヴァン・サントは男にとことん優しいのに、女には厳しい。ゲイのミソジニーを分かりやすく表現している。改善を求める。