午前十時の映画祭14『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』 (Indiana Jones and the Last Crusade) [1989年アメリカ]
1938年。考古学者インディは富豪ドノヴァンから、キリストの血を受けた聖杯の捜索を依頼される。最初は渋っていたインディだったが、行方不明になったという前任者が自分の父ヘンリーだと知り引き受けることに。ベネチアで父の同僚シュナイダー博士と合流したインディは、父から託された聖杯日誌を頼りに、聖杯の在り処を示す手掛かりをつかむが……。監督はスティーブン・スピルバーグ。出演はハリソン・フォード/リバー・フェニックス(インディ・ジョーンズ)、ショーン・コネリー(ヘンリー・ジョーンズ)、ジョン・リス=デイビス(サラー)、デンホルム・エリオット(マーカス)ほか。
先週に引き続き初日で観たけど、やはりというか当然というか、客が私を含めて6人くらいしかいなかった。TOHOというか午前十時の映画祭運営側がミニシアターか独立系の映画館を狙って上映かけたほうが絶対いいよ。
3作目は意図的に西部劇というか、インディ・ジョーンズで西部劇をやりたかったんだということは分かる。そもそもインディ・ジョーンズが現代にいるカウボーイという設定なわけで。そして不在だった父との関係を埋めるように、さすらう父と息子が和解するのも西部劇らしい。どんな関係であれ父親を描かずにはいられない、それがアメリカ映画だ。ラストも昔ながらの西部劇ふうで、地平線を追う4人組だが、それがインディ以外はあんまりマッチョじゃない男たちというのがスピルバーグの良いところだ。
あの地平線のシーンは『フェイブルマンズ』を観た後だど、感じるものが違ってくる。『フェイブルマンズ』では、スピルバーグの分身であるサミーがジョン・フォードに「地平線が上にあるのは良い、下にあるのも良い。真ん中にあるのは死ぬほど退屈だ」と叱咤されるシーンがあるが、ちゃんと本作での地平線は画面の下にあり、ちゃんとジョン・フォードの言いつけを守っていたのだと分かる。あと『フェイブルマンズ』に出てたキリストと神にある種の性愛を抱いていたあの女の子は本作におけるシュナイダー博士のモデルだったことも分かった。
1作目と2作目の例にもれず本作も撮影とセットが凄くて、冒頭の少年時代の時代のシーンだけで、あの列車や船のセット組んだのか。オーストリアで父親救出、ドイツからジャンボ機で脱出するも、結果的に小型飛行機で逃げる、という一連の流れが面白すぎる。
子どもの時は本作が一番微妙だったのだが、確かに聖杯探しとかテーマが漠然とし過ぎて良く分からなかった。ただ聖杯っていうのは本当にあって不老不死になるんだって子供心ながら本気で信じていたので、それくらい説得力のある演出がある映画なのだ。またこうして映画館で観れて良かった。